債務整理の相談は、主に法律の専門家である弁護士や司法書士にお願いをするというのがセオリーです。
債務整理をしていく中で、過払い金が発見されることもあります。この場合、当然のことながら債権者側に過払い金の返還請求を行います。
司法書士の仕事をしていると、過払い金の返還請求を行うと債権者側から脅されるというケースに直面することもあるようです。
その中でも2つの主要な脅しのパターンがあります。過払い金返還経験が豊富であれば対処できる脅しもありますが、どうにもならない脅しもあります。
司法書士が受ける2種類の脅しとは?
司法書士が受ける脅しとして、これは闇金相手の交渉の場合誰もが経験することですが「貸した金を返せ!」というものです。債務整理の受任通知が債権者側に届くと、今後債権者側は借金の取り立てができなくなります。
加えて、一切債務者が債権者にお金の返済をしてはいけません。
そこで闇金を中心として、「借りた金を返さないとはどういう了見だ!」となるわけです。「後ろに気をつけろよ」とか「帰り道は一人で歩くなよ」のような脅し文句を言ってくるケースもあります。
しかしこのような直接的な脅しに関しては、過払い金返還請求では闇金相手の場合特にごくあることなので気にしないという司法書士が多いです。逆にこのようなことで屈してしまう司法書士であれば、案件を依頼すべきではありません。
実はもう一つの脅しの方が、屈してしまう恐れがあるのです。それは「この金額で和解しろ!さもなくば控訴するぞ!」という脅し文句です。相手が司法書士であることがわかっていて、相手の対処できない所をついてくるわけです。
実は弁護士と司法書士とでは過払い金返還請求で、決定的な違いがあります。弁護士の場合、過払い金の金額に関係なく返還請求の裁判ができます。しかし司法書士の場合、140万円を超える案件に関しては裁判に参加する権利がないのです。
もう少し詳しくみると、140万円以下の返還請求であれば簡易裁判所で開催されます。この簡易裁判所の裁判であれば、司法書士は参加できるわけです。ところが控訴するとなると、金額に関係なく地方裁判所で審議が行われます。
そうなると司法書士の資格だけではもはや関わることができなくなってしまうのです。
控訴された場合どうする?
もし控訴されてしまって、地方裁判所に持ち込まれた場合、弁護士を新たに雇うか債務者当人が裁判所に出頭しないといけなくなります。
ちなみに裁判所が開廷しているのは、10~12時と13~15時です。日中に仕事をしている人が出頭して返還請求するのは、スケジュール的に難しいです。
このように依頼者側に迷惑をかけてしまう可能性が出てきます。そこで司法書士の中には、債権者側の和解金の提案を受け入れてしまう人もいます。
結局本来受け取るべき過払い金の総額よりも少ない金額で妥結してしまうのです。
ですから過払い金の返還請求をする場合には、基本的には弁護士の方がとるべき対策のバリエーションも豊富なので安心です。もし司法書士に依頼するのであれば、控訴のような不測の事態にどのような対処をしてくれるかを事前に確認すべきです。
たとえば自分の知り合いの弁護士を紹介してくれるなどの対応をしてくれるかなどの相談です。
まとめ
きちんとした司法書士事務所であれば、控訴などの対策も万全を期しているはずです。またそもそも案件を依頼する前に司法書士に依頼をした場合、上で紹介したようなリスクが伴うということを事前に知らせてくれるはずです。
司法書士に依頼するメリットだけでなく、デメリットも説明してくれる所の方が誠意ある対応をしてくれる可能性は高いです。