債務整理などの借金問題を相談するにあたって、弁護士や司法書士に相談する人は多いです。ところでこの債務整理関係の弁護士や司法書士業界の間で、ちょっとした話題になっている項目があります。
それは、過払い金バブルと呼ばれるものです。
2007年に最高裁判所は、いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれていた利息に関して全て違法であると判断を出しました。
それまで大手の消費者金融でもグレーゾーン金利で利息を取っていたので、過払い金返還請求が立て続けに起こりました。ここ5~6年の間での返還訴訟の総額は10兆円にもなったといいます。しかし過払い金バブルはあくまでもバブルで、いずれは消えるとみられています。
過払い金専門の弁護士や司法書士の存在
過払い金の返還訴訟を行うと、実際にグレーゾーン金利で取り立てていた部分は返還命令が出ます。大手の消費者金融の中には、請求が来た時点で返還をしている所もあります。
ちなみに過払い金返還をされると、その2~3割は弁護士や司法書士に報酬になります。
先ほど10兆円の返還訴訟があったと紹介しました。単純計算すると、2~3兆円もの報酬が弁護士や司法書士の手元に落ちたということになるわけです。
過払い金バブルで潤う弁護士業界
この過払い金バブルに踊らされて、司法書士や弁護士の中には過払い金の返還訴訟を専門的に行う所も出てきました。短期間で荒稼ぎのできる可能性が高いからです。
弁護士や司法書士の中には、そのほかの問題は割に合わないということで門前払いをするような所も出てきています。労使問題やブラック企業の問題といったものが持ち込まれても、「その案件で勝利するのは無理です」のような感じで一蹴してしまうのです。
まさに「儲けのない案件を持ってくるな!」という感じの態度です。しかし過払い金バブルはあくまでもバブルなので、いずれははかなく消えます。
そして過払い金バブルが消える前兆はすでに現れはじめているのです。それは、消費者金融の株価を見ると如実に出ています。
アイフルの株価にみる消費者金融の推移
消費者金融大手にアイフルがあります。コマーシャルでも宣伝されているので、業界の中でもピカイチの知名度を持っています。
このアイフルの株価の推移を見てみると、消費者金融のその時々の実情が分かるので紹介していきます。
アイフルは2005年ごろには株から1万円程度ありました。ところが2006年程度から株価の落ち込みが始まって、3500円程度になり、2010年にはさらに落ち込んで41円という株価をつけたことまであるくらいです。
1万円の商品が5年後には41円になっているのですから、異常事態であることは株式をあまり知らない人でもお分かりのはずです。
なぜこうなったかというと、まず2006年に取り立てに関する違法行為が発見されました。そこで全店に対して、業務停止命令を金融庁が出しました。これが躓きのきっかけといわれています。しかも先ほど紹介したように2007年にはグレーゾーン金利が違法であると最高裁が最終判断をしたことで、さらに株価は下がりました。
総量規制が始まったために融資がしにくくなった
さらに2010年には総量規制の導入によって、個人の借入は年収の1/3に制限されました。貸出額が少なくなって、さらに株価が低迷してしまいました。
では現状はどうかというと、アイフルの株価が持ち直し傾向にあります。2013年時点で600円まで持ち直しています。なぜかというと単純に会社の業績が良くなったこと、そして過払い金返還請求件数が少なくなったことが指摘されています。
2007年の最高裁の判決以来、大手中心に利息制限法に基づく金利に変更しています。
つまり過払い金が今後発生する余地は少なく、過払い金バブルはしぼんでいくという見立てが主流です。